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suzuki takayuki DI for UT を着る: 服を演奏する<ファッション・パフォーマーの試み>
作曲家が書いた楽譜は演奏家によって解釈され、演奏されて初めて音となって聴き手の耳に届く。

解釈とは、作曲家の意図、作曲された時代背景、文化的文脈などを理解し、表現することであるが、この理解のしかたは演奏家によってさまざまであるから、同じ作品でも違って聴こえる。

私はデザイン性の高い服というのは作曲作品のようなものであると感じる。平らに置かれた商品写真は楽譜のようなものだ。そのままでは一体どのような音楽として聴こえるのかわからない。

素材の特性を理解し、光がどう服に影響を与えるかを計算し、どのような動きやポーズがよりデザイナーの意図を表現するか考えて着るということは、演奏者が楽譜を読み、作曲家の背景、傾向、これまでの作品を研究した結果、その肉体をもって演奏行為をし、音にして聴き手に伝えるようなものであると感じる。もちろん、演奏家の身体的特徴が演奏に影響するのは服を着る行為も同様である。


suzuki takayuki DI for UT A
商品写真(楽譜) (商品写真はすべてユニクロオンラインストアより)

       
          着用写真(解釈)
          


suzuki takayuki DI for UT の5つの作品は、着るものの肉体を決して美しく見せない服である。 「+J」の服とは正反対なのだ:

「+J」の服はバランスの良いデザイン、立体的なカッティング、形を保ちやすい良質な素材により、サイズさえ合えば、体型を実際以上に良く見せる。

suzuki takayuki DI for UTには、体型をカバーしたり、補正したりというような機能は全く存在せず、そのあくまでも柔らかい素材とあいまって、着るものの体型をそのままの形で見せてしまう。あたかも着ることによってさらに裸になってしまうかのようだ…そして着る者の精神までも露わにしてしまうとさえ思える。

suzuki takayuki DI for UT C

 
                    
「お客様の声」で、「アラサーだから」「アラフォーだから」一枚では着れないとか、可愛すぎるとか、ベルトをするといい感じだとか、気になる二の腕はカーディガンでかくす、などの書き込みを見たが、私は、大人であればあるほど潔さが求められる服だと思う。レイヤードすればするほど子供っぽくなってしまうのだ。

短いものはさすがにレギンスを合わせたが、長めの「D」は素足で着てみた。

suzuki takayuki DI for UT D 










suzuki takayuki DI for UT B は、動いて初めてそのよさが本当にわかる服だと思う。

suzuki takayuki DI for UT B
 


  
 
実際、彼の服はダンスの衣装に使われ、コレクションの写真にも大きな動きのある写真が用いられている。









デザイナーズ・インビテーション・プロジェクトは「これまでのTシャツという概念をくつがえした斬新なデザインが楽しめる」と謳ったユニクロのTシャツシリーズで、2010は7デザイナーをインヴァイト。各2990円/19.90ポンド。suzuki takayuki DI for UTは日本のオンラインストアではほぼ完売状態であるが、普通規模の店舗でも販売されているので、実店舗にはまだ在庫があると思われる。
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by YumiHaraCawkwell | 2010-04-04 10:01 | Fashion ファッション